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2018年2月 1日 (木)

喪失

あれは

昨年のハロウィンの日だった

学校から帰宅した息子は

「今日 野球するねん」と

嬉しそうに目をキラキラさせていた

6年生になってから

野球のおもしろさに目覚めたみたいで

放課後、友達と野球ができた時は

「楽しかった~」と毎回目を輝かせてた

「学校(の運動場)行ってくる」と

息子が出かけた後

デスクに向かって仕事をしていた

その時電話が鳴った

図書ボランティアで一緒のママさんからだった

普段電話がかかってくることはあまりない方だから

「どうしたのかな?」と思いつつ

電話にでた

「息子さんの顔にバットがあたったみたい

血を出てる

歯が折れてるみたい」

その方は慌ててそう言った

一瞬頭が真っ白になった

歯が折れてる??

とにかく行かなければ

徒歩1分で行ける学校が遠く感じた

駆け付けると

血を流して

分厚いガーゼが下唇にあててある息子の姿があった

上着は血まみれだった

表情はなく青ざめ虚ろな目の息子

口を少し開けさせてみると

歯が2本折れていることが確認できた

あまりのことに

息子を抱きしめて泣いた

野球をしていたお友達たちが

落ちている息子の歯を集めてくれた

歯は粉々にくだけていた

目を輝かせて出かけていってから

1時間もたっていなかった

その後、近所の信頼できる歯科に行き

診てもらった

口を大きく開けるのも難しい状況だったが

先生がなんとか診てくれた

前歯のサイドがそれぞれ1本ずつ折れていて

前歯も殴打のため動いてしまっていた

数ヶ月前に口内炎を診てもらった時に

「いい歯だ」と褒められたばかりだったこともあり

歯医者さんはとてもショックを受けられ

心配してくださった

その日ちょうど休みで外出していた夫も駆けつけてきた

「必ずなんとかします」とハッキリ言ってくださった歯医者さん

その言葉は震える心をどれだけ励ましてくれたか

その日は剥き出しになってしまった歯の神経を抜く処置をしてくださった

翌日は念のため脳神経外科へ

顎の骨も脳にも異常はなかった

最悪の状況は免れたのだと

とにかく

失ったものを嘆いても戻ってはこないので

顎の骨や

鼻が折れなかったこと

当たったのが頭でなかったことは

不幸中の幸いであったのだと

私たち夫婦も、息子本人も思った

今回のことで難しいのは

自分でこけて歯を折ったというようなものではなく

顔面にお友達の振ったバットが当たってしまった

ということ

ひどい打撲の痛みと

歯を失ったことに苦しむ息子

でも

バットを当ててしまった子の苦しみは

いかばかりか

そのことを思うと

何ともやりきれない

想いに押しつぶされそうだった

この出来事は火曜日であったと

記憶してる

切れてどす黒く腫れ上がっていた唇

しかし

子どもの回復力というのはすごい

翌週には口元の傷はすっかり治り

登校することができたのだ

かなりショッキングな出来事かつ危険な事だったので

学校でも問題になり

全校集会で話があったり、、、と

息子は一躍時の人(?)となった

求められれば気軽に歯を見せて

「歯が折れちゃったんだ」とお友達に説明していた息子

その後

参加できるか心配していた音楽会でも

アコーディオンの合奏と合唱をすることができた

そして楽しみにしていた奈良への校外学習も

笑顔で行ってこれた

大変な苦しみであったけど

その中で「いいこともあった」と発言した息子に驚かされた

今まで話したこともなかった別のクラスの子から

「大変だったね。歯はどうなったの?」と声をかけられたり

心配してもらえたりしたから

だという

そして何より

バットを当ててしまったお友達のことを

責める言葉は

一度も息子の口から出てこなかった

3年生の終わりの頃に

息子が起こしてしまった問題があった

それは誰かを傷つけたり、破壊したり

はたまた盗みを働いた

というようなものではないのだけれど

とても良くないことだった

それで息子は

「加害者になってしまった」苦しみを味わった

それは母であるわたしも同じだった

してしまった事は重い十字架となり

息子と母はずっと負っていかなればならない、、

そんな日々を過ごした経験があった

たぶん

その経験もあって

バットを振ったお友達の気持ちが

痛いほどわかっていたんだと思う

言葉にできないほどの衝撃と痛みを経験して

知ることができたものも

あったのかと、、

今回の出来事を通して

息子の成長を思っていた

それが

ちょうど

ハロウィンから一ヶ月がたとうとしていた頃だった

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